茅野遺跡は、平成元年・2年に発掘調査が行われた遺跡で、主に縄文時代後・晩期(約2500〜3000年前)の住居や墓、水辺の作業場など当時の生活の痕跡が数多く発見されました。そして、土器や石器などの日常生活の道具に加え、土偶や石棒・勾玉・岩版・手燭形土製品(ランプ)等の特別な道具、さらには577点にもおよぶ大量の土製耳飾りが出土したことで、注目を集めました。
これらの資料は、平成4年に国の重要文化財として指定され、平成12年には日本の神道を取り上げたイギリスの大英博物館「SINTO」展にも出展されました。さらに同年、茅野遺跡そのものの重要性が評価され、国指定史跡となり、今日に至っております。
縄文時代、茅野遺跡の人々は、自らのムラを構えるのに、榛名山と赤城山を一望できる、現在の榛東村を選びました。彼らも、このような景観の中で、豊かな自然の恩恵に与りながら暮らしていたことでしょう。この地に足を踏み入れれば、縄文の息吹を感じることができるかもしれません。
ガイドマップ
発掘調査区域A区からは多くの住居跡が確認され、茅野遺跡の特徴である土製耳飾りの約8割がこの区域から出土しました。写真に見られるような石囲炉などの炉跡が数多く確認されており、住居が幾度にもわたり建て替えられていたことを窺い知ることができます。

住居や作業場だけでなく、石を配して作られた墓なども見つかりました。
茅野遺跡で見つかった住居跡の中には、床部分に敷物の圧痕や粘土を敷いて焼いた痕跡などが見つかったものもあります。

茅野遺跡からは、土器や石器などの生活道具をはじめ、土製耳飾りや勾玉などの装身具、土偶や岩版、ランプの役割を担ったと考えられる手燭形土製品など数多くの遺物が出土しています。


住居跡が多数確認されたA区から約30mの位置に、当時の主要な食糧であった堅果類を加工したと考えられる水辺の作業場が見つかっています(Eトレンチ)。

水流があったと考えられる付近から、1つ100kgを超える窪みのある大形の石皿や磨石などが見つかっています。

茅野遺跡データ
名称:茅野遺跡(かやのいせき)
所在地及び地域:群馬県北群馬郡榛東村大字長岡字神薬師 1200番ノ1、1289番、1290番ノ1、1291番ノ1、1292番ノ1、1292番ノ2、1293番ノ1、1294番の4、1297番の1、1298番、1299番、1300番ノ1、1300番ノ2、1301番ノ1、1301番ノ2、1303番ノ1、1303番ノ2、1304番
官報告示:平成12年3月7日付け 文部省告示第25号
面積:史跡指定面積 12125.84 m2
公有地面積 12125.84 m2
